にんにくの変形

にんにくは無事に収穫できたけど形が悪いものがあります。出荷不可でも食用には十分です。

1.玉割れ

玉割れしたニンニク
鱗片が分離して間隔があいている

 玉割れすると、軸が太かったり、皮が割れて中の鱗片が見えるものがあります。
 見た目が悪く、味が落ちて、商品価値は下がります。食味が落ちるという人もいます。
 しかし、鱗片が丸々太ってパンパンに張っているので、収量は増えて自家消費の場合は喜ばしいともいえます。

玉割れの原因は、
1. 窒素過多
 元肥や追肥が多すぎてしまうと、 球割れを起こしやすくなってしまいます。球が肥大する時期に窒素が多くなると、球割れしやすくなります。元肥として土と混ぜる堆肥の量も、 多すぎると肥料が長期間効いてしまう原因となります。
2.マルチ栽培による温度上昇
 黒マルチでニンニク栽培をしていると、球割れの株が多くなることがあります。春以降の急激な気温上昇によって、ニンニクの生長が良くなりすぎるのです。
3.収穫の遅れ
 収穫が遅れ、土の中に残したままにすると、 球の肥大が進んで球割れを起こしてしまいます。

2.一片突き出し

1片突き出したにんにく
1片突き出したにんにくの断面

 1個の種球を植えつけたのに2株になって芽が出てきた場合は、株を1本にします。このことを、わき芽かき(除けつ)といいます。
 わき芽かき(除けつ)をしないで放置した場合には、形が楕円形になることがあります。これは2本立ちしたにんにくの為で、1片だけ円の中から突き出して、丸くなれないからです。
  このまま成長すると左上図のにんにくの様に、1片が突き出した座りが悪く形の悪いにんにく になります。
 味には影響ありませんので、美味しくいただけます。

3.分球不良1

分球しなかったにんにく

 にんにくは、だいたい4月頃に分球が始まります。つまり、それよりも前に抜いてしまうと、分球していないにんにくにを収穫することになります。
 また春以降に病気にかかった株は、 時折葉が急速に黄変して枯れてしまうことがあります。その場合は、分球はしていません。
 収穫時期に抜いたけれど分球していなかったという場合は、 軟弱に育ってしまい、分球しないこともあります。
 分球しなかったにんにくは、一片種にんにくと同じように、小さな玉ねぎのような形のにんにくになることがあります。料理には問題なく使えます。

4.分球不良2

上は鱗茎、下はその断面

 収穫してみると、茎が太くて、 鱗茎部分をつまんでみると、固くなくてスポンジのように柔らかくなっています。
 寒地系の福地ホワイト6片を、暖かい地区で栽培しているとき、桜の咲くころ(3月下旬から4月上旬頃)に、気温が高すぎたりしたときになるそうです。
 鱗片に分化するためには、寒さが必要です。寒地系の福地ホワイト6片は、より多く必要です。暖かい気候では、その要求を満たせなくて、鱗片の分化が進まないことああります。

 対策として、にんにくの種を深植えして、気温の影響を受けにくくしたり、早めにマルチを除去しておくことが考えられます。

 温暖化が一段と進んでいきますので、当地の気候に合ったにんにくの種類を栽培することが無難なように思われます。

5.珠芽(しゅが・ムカゴ)

一番左:花茎の先が珠芽成長
鱗茎のすぐ上に出来た珠芽

 珠芽(しゅが)とは、ヤマイモや自然薯、ジャンボにんにくの「ムカゴ」と基本的に同じ性質のものです。
 一片ずつばらして植え付けると、小さなにんにくが育ちます。普通のニンニクと同じ味ですので、 食用にもできます。
 にんにくの花茎は、にんにくの肥大の妨げとなるので、適期に摘み取ります。摘み残したいくつかの花茎は、先端に珠芽(しゅが・ムカゴ)をつけます。
 にんにくは、子孫を残すために、花茎の花の部分を珠芽(しゅが・ムカゴ)にしたり、左下の写真のような茎の中程にこぶのような珠芽(しゅが・ムカゴ)も作ります。