にんにくの栽培

にんにくの栽培は8月から始め、5月下旬から6月初旬に収穫します。こよみにしました。

にんにく栽培のこよみ

8月 苦土石灰耕運、堆肥投入耕運

field
畑づくり

 にんにくの根は約30cmまで伸びるので、30cm以上深く耕します。
 にんにく畑は、水はけが良くて、かつ、水持ちが良い土壌にします。そのため、充分に堆肥を施し高畝にします。
 にんにくの適正土壌酸度 は, pH6.0~6.5 とされていますので,できるだけこの範囲のpHに合わせます。  
  8月中旬に苦土石灰 を1㎡あたり100gを散布し、鍬の入る約20㎝深さまで、耕し込みます。
 それから雨天後に、バーク堆肥や牛糞などの堆肥を1㎡あたり2kgを畑に入れて耕運します。
 耕運は鍬(くわ)でできますが、耕運機があれば楽です。ホームセンターによっては、耕運機はレンタルで、軽四トラックは無料で貸してくれます。

石灰について

9月 肥料投入~耕運~マルチ

 9月上旬に、と肥料を畑に入れて耕します。
 肥料としてそれぞれ1㎡あたり、化成肥料150g、ミネラル60g、ようりん100g、鶏糞6kgを投入します。化成肥料は888とし、鶏糞は肥料として投入します。肥料は過小または過大にならないようにします。

 にんにく栽培には穴あき黒マルチを利用します。黒マルチを張ることにより、雑草が生えにくく、草抜きなどの手間も省かれ、さらに、水分の蒸発も抑えられ、肥持ちが良くなります。
 マルチは風邪で飛ばないように、マルチの淵を砂で覆っておくか、マルチ止めを利用して固定します。

 穴の間隔は、中国ホワイト種なら小ぶりなので15cmでも構いませんが、福地ホワイト六片の場合は、20~25cm程度が良いです。日本農業システムから手に入れることができます。

Exelを使って肥料計算

10月 種の植え付け

 中国ホワイト種(上海早生・壱州(いっしゅう)早生など)の種球は、ホームセンターで購入します。福地ホワイト六片」の種球は、JA(農協)か青森のにんにく専門業者から購入します。
 購入するのは、食用のにんにくでも構いませんが、種用の「にんにく」が安心です。売り切れになることがあるので早めに予約しておきます。
 鱗茎をばらしてりん片(薄皮がついたまま)にします。その中から小さいものを食用に回して、残りの大きいサイズを種球にします。
 根が出る側(基部)を下に、芽が出る側(頂芽)を上にして、マルチの穴に手で押し込みます。深さは、地面から鱗片の頂芽までが5~6cm、または、地面から鱗片の底(基部)までが7cm程度にします。りん片の上は砂で覆っておきます。
 形の良いにんにくにするために、深め8cmと深めに植え付けする人もいます。

にんにくの種について

薄皮をむいたにんにくの種

11月 草抜きとマルチから頭出し

 11月に入るとにんにくの芽が出始めます。同時に草の芽も出てきます。草の芽は早めに抜きましょう(以後、2か月に1回程度は草抜きが必要です)。
 草抜きのときに、にんにくの芽がマルチの穴から出ないで、マルチの下に隠れているものがありますので、出来るだけ傷つけないようにそっと出します。

 この時期になると、発芽状況が判明します。発芽していない穴に、予備の種を補充します。

12月 追肥

 種を植えつけて約40日後の、発芽して根がしっかりした12月初旬頃に1回目の追肥をします。
 追肥は、にんにくの株を避けて、マルチ上の条間にバラバラとまきます。雨が降ったときに溶け出し、マルチの穴から染み渡ります。雨が降る前日に施肥します。追肥は、即効性の化成肥料1㎡あたり20gを用います。

1月 わき芽かき(除けつ)

 1個の種球を植えつけたのに2株になって芽が出てきた場合は、株を1本にします。そのまま放置すると、小さめのにんにくになってしまいます。
 わき芽側の土を軽く掘り、残す芽の株元を押さえながら、わき芽を外側へはずすように引き抜きます。
 わき芽をそのまま残すと、形が悪い2つの鱗茎が出来ますが、収量は増えます。
 抜き取ったわき芽を、「葉にんにく」として食用にできます。
 わき芽かきを怠っても、2つのにんにくが収穫でき、収量が増えます。食用ならむしろ歓迎です。

2月 除草と散水

 2月は農閑期です。時々畑に出向き、雑草が生えていないかチェックし除草します。
 また、雨が降らない日が続いた場合は、適宜散水します。葉物野菜ほどデリケートでならなくてもよさそうです。
 枯れなくても、水分が不足すると、肥大化しないことがあります。鱗茎肥大期に乾燥させてはいけません。
 特に、3月から5月までの肥大期には注意が必要です。

3月 除草と追肥

 暖かくなり芽がぐんぐん伸び始める時期に、鱗茎を肥大させるために、2回目の追肥が必要になります。
 福地ホワイトでは3月上旬に、中国ホワイト種では2月中旬に、追肥をします。
 追肥は、化成肥料1㎡あたり20gを用います。
 暖かくなると草生が盛んになります。マルチの穴から生えた草はこまめに早めに抜きとります。

4月 マルチ除去~とう摘み

花茎の図

 春の過湿は、病害発生の原因になるので、4月に入ってからマルチを除去します。
 その際、春腐れ病にかかっていないかチェックして、春腐れ病にかかっている株は土ごと抜き取り、畑以外で処分します。

 花芽の茎の部分が30cm以上になったところで収穫し、「茎にんにく」として食べましょう。花芽を摘まないと、にんにくの肥大化に悪影響を及ぼします。
 あまりのも、とうの小さいうちに摘み取ると、玉割れ(鱗片が肥大して分離)が多くります。
  福地ホワイト6片は花茎が出にくい品種です。

美味しい「茎にんにく」の収穫

5月 収穫~根切りと茎切り

スコップで掘り起こします
畑の上で乾燥
収穫適期の見分け方

以下の3つの条件すべてに適合した時期が収穫適期になります。 ①花茎が出てから10日~2週間後
(または、茎を収穫して1週間から10日後)
②株全体の葉が、3~5割ほど、黄色くなり枯れた。
③試しどりして、にんにくのお尻がフラットになった
 未熟の場合は、抜き取った株を埋め戻します。

 収穫適期は、にんにくの種類や播種の時期などにより異なりますが、おおむね5月~6月上旬までです。

収穫する日

 2~3日前から雨が降っていない乾燥気味の日に収穫します。雨の日の収穫はさけます。
 雨の日に収穫をすると、茎部分に水分を含んでいて、肝心のにんにくの球だけが地中に残ることがあります。

収穫の仕方

 スコップを使用して、鱗茎を傷つけないように掘り起こして引き取ります。
 畑の土がすごく柔らかい土なら、手で抜き取ることができ能率的です。普通の畑では、茎がすっぽ抜けることがありますので、手間でもスコップを使う方をお勧めします。

畑の上で天日干し

 引き抜いたにんにくは、収穫した畑の上に並べて、2~3日間晴れの日に天日干しにして乾燥させます。
 にんにくをマルチの上に乗せておかないように要注意です。必ず土の上におきます。それは、天候がよい場合はマルチが非常に高温になり、ニンニクが「煮えた」状態になるという。
 乾燥させるのは腐敗防止のためです。

根切りと茎切り

 収穫したにんにくを乾燥にかける前に少しでも容量を減らす為、 根と茎を切ります。
 薄皮を剥いてからの方が、根が切りやすくなります。根を切るにんにく専用のハサミがあります。園芸用のはさみでも構いません。
 ひもで茎部分をくくって吊るすなら15~20cm、網袋に丸ごと入れるなら2~3cm程度に短くします。
 一連の作業は土が付いたままでも構いません。
 収穫後の2週間のものを「生にんにく」と呼んでいます。
 通常販売しているにんにくは、長期保存のために収穫後、水分を30%以上とばす高温乾燥処理をしております。
 それと比べ「生にんにく」は掘りたてなので「水々しく」「モッチモチ」! 加熱した時に、掘りたての時期にしか味わえない「旬の甘味」を感じさせてくれます。

変形にんにく(玉割れ・分球不良・一片突き出し・珠芽)

6月 乾燥

紐で束ねて棒に掛けて乾燥
茎を束ねて単管に掛けて乾燥
ネットに入れて乾燥
吊るして乾燥

 日蔭で、風通しの良い、雨に当たらない場所を選びます。
①茎をひもで束ねて、単管や支柱などに、引っ掛けて吊るします。(写真上の2つ)
②収穫用の網袋に10程度入れて、軒下などに吊るします。(写真一番下)
 日光に当てないのは、植物の活動を休止させ、腐食などの品質の劣化を防ぐ為です。
 期間は1か月くらいが目安で、にんにくの重量が3割減で終了です。

乾燥中に腐る

 雨が多く気温の高い高温多湿の地方では、腐食に注意します。玉ねぎと同じく、大きい球ほど腐りやすいです。
 また、3月中旬以降に施肥をした場合、腐っていきます。
 さらに、あまり早く収獲すると、形はにんにくでも甘皮が多くを占めているので腐ります。葉茎が半分以上枯れ、にんにくが完成されるまで、収穫を我慢します。

乾燥後にスカスカになる

 自然乾燥からの保存で、スカスカになってしまう理由は2つです。食害されてしまった ・カビなどの理由で腐れてしまった 。初期の乾燥までの処理を丁寧に行うと軽減されます。

7月 種としての保存と食用のための保存

大きめの形の良い繻子用にんにく
Lサイズ以上を(福地ホワイト6片の場合)
食用のための保存

乾燥後したあと、冷蔵庫に保存しておけば食用のためには数カ月もちます。

種としての保存

 乾燥したにんにくの中から、秋に種として植えつける種球を確保します。
 大きく(Lサイズ以上:左図参照)皮がしっかり付いていて茶色の変色のない鱗茎を選び保存します。特に大きいニンニクは、水分含有率が高く、腐りやすいので注意です。
 種子用にんにくは、段ボールの箱に籾殻を入れて、そのなかに丁寧に埋めて保存します。腐らないよう、カビが付かないよう、乾燥しすぎないよう、植えつけの秋まで保存します。

にんにくの種について