にんにくの病気

にんにくは害虫や害獣には強くても、細菌に犯されて病気にかかり、収穫できないことがあります。

1.「にんにく」の病気について

しつこい病原菌

 「にんにく」は、連作障害の少ない作物で、菌や虫、害獣などからの被害も少なく、比較的栽培しやすい作物です。
 ところが、長く栽培を続けるうちに、連作障害を被ったり、病気にかかり全滅したりすることもあります。
 始めて栽培する場合には、そんなに気にすることはありません。「にんにくの病気」にかかった時点で、いろいろ調べて対処法などを研究すればよいのです。
 私は、「農作業は実験」だと考えています。実験を繰り返して、失敗をしながら、研究成果を積み上げていく場だと考えています。

2.病気にならないための環境づくり

   雨の多い時期は注意
       畝を砂を投入して高畝にする
苦土石灰の散布

① 「過湿」防止
 一見強靭に思える「にんにく」にも弱点があります。一番の弱点は「過湿」です。特に、雨の続く時期に、畑を「過湿」にしない工夫が必要です。
 そのためには、水はけのよい土壌に改良しておきます。また、高畝にして水はけを良くします。さらに、風通しを良くするために、株間を広く(20cm以上)とったり、こまめに雑草を除去します。

② 酸性土壌を改良
 「にんにく」は酸性土壌を嫌います。播種する前に苦土石灰で酸性に傾いた土を中和する必要があります。

③ 高温対策
 「にんにく」は低温にはめっぽう強いですが、高温には弱めです。寒地系の「福地ホワイト6片」を暖地の地方で栽培するとき、また、収穫後の「にんにく」の夏期の保存には要注意です。

④ 連作の回避
 過去に病気になった「にんにく」の畝の土壌には、ウィルス菌が残っているので可能な限り連作は避けます

⑤ 窒素過多の回避
 「にんにく」は、窒素分の多い肥料を与え過ぎると、株が貧弱に育って、病気にかかりやすくなり、害虫も寄りやすくなります。

⑥種子消毒

種子消毒についてはこちらをご覧ください

3.かかりやすい病気

さび病
春腐病(はるぐさりびょう)
葉枯病(はがれびょう)

① さび病
 左の写真のように、葉の表面に小さな病斑が出ます。症状が進むと、病斑が増えていきます。
 カビの一種である菌が感染し、起こる病気です。空気感染と水による感染によって起こります。水はけの悪い土で育てていたり、風通しの悪い環境であったりすると、湿度が高くなって感染する可能性が高くなります。
 感染の初期段階で、まだ一部の葉に病斑が見られるくらいであれば、 病斑のある葉のみを切って処分します。この時、切り取った葉をそのまま畑などに放置しないようにします。
 薬剤散布による防除もできます。ジマンダイセン水和剤やアミスター20フロアブルなどが使えます。
 薬剤を使用する時に、展着剤を使用します。

② 春腐病(はるぐさりびょう)
 播種をしてまもなく感染した場合、葉が2枚~3枚くらいの頃から出始め、葉の先端が細くなります。
 症状が進行すると、葉の根本は腐ったようになり、引っ張るとすぐに切れてしまいます。さらに症状が進むと、株元が柔らかくなり、球までも腐ったようになります。
 春腐病の菌は、水分の多い土の中を移動して広がるため、雨の多い年に発生が多くなり、広がるスピードも速くなります。
 また、菌は土の中に残るため、連作によっても感染の確率が高くなります。連作を避けるか、土壌消毒を行ってから栽培するようにします。
 春腐病に感染する前に、薬剤を使って防除するようにします。 Zボルドー水和剤などが使えます。
 春腐病の場合、感染して症状が確認できた時には、薬剤などによる治癒は難しくなります。そのまま感染した株を残しておくと、土から他の株にも感染する可能性があり、発見次第すぐに発症した株と土を抜き取り、畑の外で処分します。

③ 葉枯病(はがれびょう)
 葉の先端が枯れたようになったり、病斑が出たりします。病斑が出るのは先端とは限らず、葉の中ほどから出ることもあります。
 春になって気温が上がったにも関わらず、新しく出た葉の先端に症状が出た場合は、葉枯病です。
 葉枯病の原因となる菌は、カビの仲間の菌です。高温多湿の環境を好むため、気温が上がってくる4月頃から症状が出てきます。
 菌は土の中に潜む上、湿度が高いと、どんどん広がっていきます。そのため、水はけの悪い土では、葉枯病が蔓延しやすい。また、菌は何年も土の中に存在します。
 葉枯病の菌は湿気を好み、乾燥が苦手です。適度に乾燥させることで感染を軽減できます。
 症状が進んでしまっている場合は、薬剤を使うようにします。カビの仲間である原因菌を殺菌することで、症状が改善するのを望めるため、ダコニール1000やトリフミン水和剤などの殺菌剤を使います。

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